【2025年最新版】技能実習制度は廃止へ!新制度「育成就労」で受け入れはどう変わる?企業が今すぐ準備すべき3つのこと

2025年、日本の外国人材受け入れの歴史に大きな転換点が訪れました。
長年、多くの企業にとって貴重な人材確保の手段であった「外国人技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが国会で可決されたのです。

「制度が変わるのは知っているけど、具体的に何がどう変わるの?」
「これから技能実習生を受け入れたいと考えていたが、どうすればいい?」
「すでに受け入れている実習生への影響は?」

このような疑問や不安を抱えている経営者様、人事担当者様も多いのではないでしょうか。
この制度変更は、単なる名前の変更ではありません。技能実習生の受け入れを検討している、あるいはすでに行っているすべての企業にとって、今後の事業計画や人材戦略に直接関わる重要なテーマです。

本記事では、この歴史的な制度変更のポイントを誰にでも分かりやすく解説し、新制度「育成就労制度」に向けて、企業が今すぐ準備すべき3つのことを具体的にお伝えします。
この記事を最後まで読めば、新制度への漠然とした不安が解消され、変化をチャンスとして捉え、外国人材と共に成長していくための具体的な一歩を踏み出せるはずです。

そもそも技能実習制度とは?現在の課題を振り返る

新しい「育成就労制度」を理解するためには、まず、なぜ現行の「技能実習制度」が廃止されることになったのか、その背景と課題を知ることが重要です。

 

技能実習制度の本来の目的

技能実習制度は、1993年に制度が創設されて以来、日本の企業が培ってきた技術や技能、知識を開発途上国等へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした、国際貢献のための制度でした。

あくまでも「実習」であり、労働力の需給を調整する手段として利用されることは、制度の趣旨から外れるとされていました。しかし、現実には多くの産業、特に人手不足が深刻な分野において、貴重な労働力として日本経済を支えてきたという側面も否定できません。

なぜ制度廃止に至ったのか?浮き彫りになった課題

国際貢献という崇高な理念とは裏腹に、技能実習制度は長年にわたり多くの課題を抱えていました。

【課題1】制度目的と実態の乖離

前述の通り、制度の目的は「国際貢献」ですが、実態としては人手不足を補うための「労働力」として機能していました。この建前と本音の乖離が、様々な問題の温床となっていると指摘されてきました。企業側も、国際貢献というよりは、労働力確保の目的で技能実習生の受け入れを検討するケースが大半でした。

 

【課題2】人権侵害の問題

一部の企業や監理団体において、パスポートの取り上げ、賃金未払い、長時間労働、暴力やハラスメントといった人権侵害にあたる事案が後を絶ちませんでした。これらの問題は国内だけでなく、国際社会からも厳しい批判を浴びることとなりました。

 

【課題3】実習生の失踪問題

より良い労働条件を求めて、あるいは劣悪な労働環境から逃れるために、実習先から失踪する技能実習生が年々増加し、社会問題化しました。法務省の発表では、2023年の失踪者数は過去最多を記録しています。背景には、来日時に多額の借金を背負っている実習生が多いという構造的な問題もあります。

 

【課題4】キャリアパスの欠如

現行制度では、実習生は原則として同じ職場で同じ作業を続けることが求められ、転職(転籍)は認められていませんでした。これにより、本人の意欲や能力に応じたキャリアアップが図りにくく、モチベーションの低下に繋がるケースも少なくありませんでした。

これらの課題を根本的に解決し、外国人材を「ゲスト」としてではなく、社会の一員として適切に受け入れ、共に成長していくための新しい仕組みとして「育成就労制度」が創設されることになったのです。

【本題】新制度「育成就労制度」とは?技能実習制度からの3つの大きな変更点

それでは、いよいよ本題である「育成就労制度」について見ていきましょう。
この新制度は、技能実習制度の課題を解決し、日本の人手不足に対応しながら、外国人材の権利を守り、キャリアアップを支援することを目的としています。
特に重要な変更点は、大きく分けて3つあります。

変更点1:制度目的の転換「国際貢献」から「人材育成と確保」へ

これが最も根本的な変更点です。

理念の明確化

技能実習制度が「国際貢献」を前面に掲げていたのに対し、育成就労制度では「外国人材の育成と確保」を明確な目的としています。これは、もはや建前ではなく、実態として人手不足が深刻な分野において、外国人材を正式な労働力として受け入れ、育成していくという国の方針転換を意味します。
これにより、企業は「労働力を確保し、育成する」という明確な目的意識を持って、技能実習生の受け入れ、すなわち育成就労者の受け入れに取り組むことが求められます。

■変更点2:本人の意向を尊重した「転籍(転職)の緩和」

これまで原則不可能だった転籍(転職)が、一定の条件下で可能になります。これは、外国人材の人権に配慮し、キャリア形成の自由度を高めるための重要な変更です。

転籍の条件

現時点で公表されている情報によると、転籍の条件は以下の通りです。

・就労開始から1年以上が経過していること
・技能検定初級(または相当する試験)に合格していること
・日本語能力試験で一定レベル(A2相当以上)に達していること

ただし、同一の業務区分内での転籍が基本となり、全く異なる業種への転職は制限される見込みです。
企業にとっては、受け入れた人材が1年で流出してしまうリスクも考えられます。しかし、これは裏を返せば、働きがいのある職場環境や適切な育成体制を提供している企業が選ばれるようになることを意味します。人材の定着に向けた企業の努力が、これまで以上に重要になるのです。

変更点3:「特定技能」へのスムーズな移行によるキャリアパスの明確化

育成就労制度は、その先のキャリアを見据えた制度設計になっています。

3年間で特定技能1号レベルへ

育成就労制度では、3年間の就労期間で、特定技能1号の技能水準を持つ人材へと育成することが目標として設定されています。
3年間のプログラムを修了すれば、多くの分野で試験が免除され、特定技能1号へスムーズに移行できるようになります。
これにより、外国人材は日本で長期的にキャリアを築く見通しを持つことができ、企業側も育成した人材に長く活躍してもらえる可能性が高まります。

 

【技能実習制度と育成就労制度の比較表】

項目 旧:技能実習制度 新:育成就労制度
目的 国際貢献(技能移転) 人材の育成と確保
転籍(転職) 原則不可 一定要件下で可能(1年超など)
キャリアパス 特定技能への移行に試験が必要な場合が多い 3年で特定技能1号レベルへ育成
原則、試験免除で移行可能
監理団体の役割 監理・監督が中心 「監理支援機関」として
保護・支援の役割が強化

企業への影響は?技能実習生を受け入れる上で何が変わるのか

制度の変更点がわかったところで、次に気になるのは「自社にどのような影響があるのか?」という点でしょう。
企業側の視点で見ると、メリットとデメリット(注意点)の両方が考えられます。

■企業にとってのメリット

・人材確保の目的が明確化し、計画を立てやすくなる
「国際貢献」という建前がなくなり、「人材育成・確保」という実態に即した目的になることで、企業はより誠実に、計画的に外国人材の受け入れと育成に向き合うことができます。

・長期的な活躍が期待できる
特定技能へのスムーズな移行が可能なため、育成した人材が5年、10年と自社で活躍してくれる可能性が高まります。これは、企業の技術継承や安定的な生産体制の構築に大きく貢献します。

■企業にとってのデメリット(注意すべき点)

・人材流出のリスク
転籍が緩和されるため、受け入れから1年が経過した人材が、より条件の良い他社へ流出してしまうリスクがあります。これまで以上に、労働条件や職場環境の改善、人間関係の構築といった「選ばれる企業」になるための努力が求められます。

・育成コストと責任の増大
3年間で特定技能レベルまで育成するという目標が設定されるため、企業にはより計画的なOJT(職場内訓練)や日本語教育のサポートなどが求められます。単なる労働力としてではなく、「育てるべき人材」として向き合う姿勢が必要です。

【今すぐ対策】新制度に向けて企業が準備すべき3つのこと

制度の完全移行までには、まだ少し時間があります。しかし、変化に対応し、優秀な人材を確保・育成していくためには、今から準備を始めることが不可欠です。
新制度下で技能実習生の受け入れを成功させるために、企業が今すぐ取り組むべき3つのことをご紹介します。

準備1:受け入れ体制の見直しと職場環境の改善

最も重要なのが、受け入れ体制の再構築です。「人材が定着し、育つ環境」でなければ、新制度のメリットを享受することはできません。

労働条件の再確認

・給与は最低賃金をクリアしているか? 同様の業務を行う日本人と同等以上の報酬になっているか?
・残業時間の管理は適切か? サービス残業をさせていないか?
・有給休暇はきちんと取得させているか?

まずは、労働基準法をはじめとする各種法令を遵守しているか、改めて確認しましょう。

コミュニケーションの活性化

・業務指示は「やさしい日本語」で、分かりやすく伝えているか?
・出身国の文化や習慣を尊重し、理解しようと努めているか?
・日本人社員との間に壁はないか? 交流の機会を設けているか?

言葉の壁や文化の違いを乗り越えるための工夫は、人材定着の鍵となります。定期的な面談の実施や、メンター制度の導入も有効です。

準備2:育成計画の具体化とキャリアパスの提示

新制度では「育成」が核となります。行き当たりばったりの指導ではなく、計画的な育成プランを立てることが求められます。

3年間の育成ロードマップを作成する

・1年目:基本的な作業の習得と、安全衛生教育の徹底
・2年目:応用的な作業へのチャレンジと、後輩への簡単な指導
・3年目:技能検定や特定技能評価試験に向けた実践的なトレーニング

このように、年次ごとの到達目標を具体的に設定し、本人に示すことで、モチベーションを高く保ち、成長を促すことができます。

長期的なキャリアパスを示す

「3年間の育成就労を終えたら、特定技能としてうちで働き続けないか?」「将来的には、現場のリーダーを目指してほしい」といった、将来のビジョンを伝えることも重要です。自分の将来像を描ける会社に対して、人材は魅力を感じます。

準備3:信頼できる監理支援機関(パートナー)の選定

制度が複雑化し、企業の責任も増す中で、専門的な知識でサポートしてくれるパートナーの存在は、これまで以上に重要になります。

サポート体制の質で選ぶ

現行の「監理団体」は、新制度では「監理支援機関」へと名称が変わり、その役割も強化されます。
単に手続きを代行するだけでなく、以下のようなサポートを提供してくれるかどうかが、選定の重要なポイントになります。

・企業の育成計画作成をサポートしてくれるか?
・受け入れ後の定期的な巡回や、本人との面談を丁寧に行ってくれるか?
・トラブルが発生した際に、迅速かつ適切に対応してくれるか?
・転籍に関する相談にも親身に乗ってくれるか?

手数料の安さだけで選ぶのではなく、自社と二人三脚で人材育成に取り組んでくれる、信頼できるパートナーを見つけることが、新制度成功の鍵を握っています。

まとめ

今回は、技能実習制度の廃止と、新制度「育成就労制度」の創設について、その背景や変更点、そして企業が今から準備すべきことについて解説しました。


制度変更のポイント
・目的が「国際貢献」から「人材育成・確保」へ変わる。
転籍(転職)が緩和され、人材の流動性が高まる。
・3年で特定技能1号へ移行するキャリアパスが明確になる。

企業が今すぐ準備すべきこと
・人材が定着する「選ばれる職場環境」を整備する。
・3年間を見据えた計画的な「育成プラン」を作成する。
・制度変更に精通し、支援体制が手厚い「信頼できるパートナー」を見つける。

この変化は、企業にとって挑戦であると同時に、優秀な人材を確保し、共に成長していくための大きなチャンスです。
今のうちからしっかりと情報を収集し、準備を進めていきましょう。

 


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