
技能実習生の受け入れを検討されている企業担当者様の中には、「自社の規模で一体何人の実習生を採用できるのか」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。技能実習制度における受け入れ人数枠の計算は、制度特有のルールが絡み合うため、正確に把握することが重要です。本記事では、技能実習生の人数枠が決まる基本的なルールや、企業の規模ごとの具体的な上限、そして3年間の採用シミュレーションまでを詳しく解説いたします。複雑な人数計算を明確にし、スムーズな採用計画を立てるための一助としてお役立てください。
【この記事の結論:一番にお伝えしたいこと】
企業が技能実習生を受け入れる際、「何人まで採用できるのか」は、自社の「常勤職員数」によって明確に上限が定められています。最も利用が多い団体監理型の場合、常勤職員が30人以下の企業であれば、1年目の基本枠(技能実習1号)として最大「3人」の受け入れが可能です。実習生が2年目以降(技能実習2号)へ移行し、さらに毎年の新規採用を組み合わせることで、3年間で最大「9人」の技能実習生を現場に配置する体制を構築することができます。
ただし、この人数枠には実習生自身はカウントされず、社会保険や雇用保険に加入している日本人等の常勤職員数のみが基準となります。また、将来的に「優良な実習実施者」としての認定を受ければ、この基本枠が倍増し、さらなる人員確保も視野に入ります。本記事では、企業の規模ごとの正確な人数上限から、3年先を見据えた具体的な採用シミュレーションまでを詳しく解説いたします。複雑な制度に基づく正確な受入可能人数の算出は、桐蔭事業協同組合にぜひご相談ください。
技能実習生の受け入れ人数枠が決まる基本ルール
人数枠の基準となる「常勤職員数」の定義とは?
技能実習生を何人まで受け入れることができるのか、その最大人数を決定するための最も重要な基準となるのが「常勤職員数」です。この常勤職員数とは、単純に企業に在籍している全ての人員を指すわけではありません。原則として、雇用保険および社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している労働者の数が基準となります。つまり、正社員としてフルタイムで勤務している従業員がこれに該当します。
一方で、パートタイマーやアルバイトの従業員であっても、週の所定労働時間が正社員とほぼ同等であり、雇用保険や社会保険の加入要件を満たして実際に加入している場合は、常勤職員としてカウントすることが認められるケースがあります。逆に、社会保険に未加入の短時間労働者や、外部からの派遣社員、業務委託のスタッフなどは常勤職員の数には含まれません。そのため、受け入れ人数枠を計算する第一歩として、自社の社会保険・雇用保険の加入状況を正確に把握し、制度上の「常勤職員数」が何人になるのかを算定することが極めて重要となります。
団体監理型と企業単独型における人数の違い
外国人技能実習制度における受け入れ方式には、大きく分けて「団体監理型」と「企業単独型」の2つの枠組みが存在します。日本の技能実習生の受け入れにおいて、実に98%以上の企業が利用しているのが「団体監理型」です。これは、事業協同組合や商工会議所などの非営利団体(監理団体)が実習生を受け入れ、傘下の中小企業(実習実施者)に対して実習生を配属するという仕組みです。
「企業単独型」は、日本の企業が海外にある自社の現地法人や合弁企業、取引先などの職員を直接日本に呼び寄せて実習を行う方式であり、主に海外拠点を持つような大規模な企業を対象としています。企業単独型の場合、受け入れ人数の上限に関するルールが団体監理型とは一部異なる部分がありますが、利用する企業が限られているため、一般的な中小企業にとっては該当しないことがほとんどです。本記事では、大多数の企業が利用する「団体監理型」の枠組みを前提とした人数枠のルールについて詳しく解説を進めていきます。
技能実習生自身の人数は職員数にカウントされるのか?
受け入れ人数の計算において、多くの企業担当者様が疑問に持たれるのが「採用した技能実習生自身は、翌年以降の常勤職員数にカウントされるのか?」という点です。結論として、技能実習生は人数枠を決定するための「常勤職員数」には一切カウントされません。
例えば、日本人の常勤職員が20名在籍している企業が、1年目に技能実習生を3名受け入れたとします。このとき、現場で働く人員は合計23名になりますが、翌年の受け入れ枠を計算する際の基準となる常勤職員数は、引き続き「20名」のままとなります。技能実習生は社会保険等に加入しますが、あくまで「実習を行う立場」であるため、受け入れ枠を広げるためのベースとなる従業員数には含まれないように制度設計されています。この点を誤って解釈し、実習生を含めた総数で翌年の枠を計算してしまうと、重大なルール違反となる恐れがあるため十分な注意が必要です。
【一覧表】常勤職員数ごとの「基本人数枠(1号)」の上限
中小企業(常勤職員30人以下〜300人)の受け入れ上限
団体監理型を利用して技能実習生を受け入れる場合、入国1年目の実習生は「技能実習1号」という在留資格になります。この1号実習生を受け入れられる最大の人数(基本人数枠)は、企業の常勤職員数に応じて細かく定められています。以下に、中小企業(常勤職員数が300人以下)における基本人数枠の上限を一覧表として整理しました。
| 常勤職員数 | 技能実習1号の基本人数枠(1年間) |
|---|---|
| 30人以下 | 3人 |
| 31人〜40人 | 4人 |
| 41人〜50人 | 5人 |
| 51人〜100人 | 6人 |
| 101人〜200人 | 10人 |
| 201人〜300人 | 15人 |
表からわかるように、常勤職員数が30人以下の企業であれば、1年間に最大3人までの技能実習生(1号)を受け入れることができます。日本の多くの中小企業がこの「30人以下」の区分に該当しており、まずはこの「1年間で最大3人」という基本枠を基準として採用計画を立てることになります。職員数が31人を超えると、10人単位または50人単位で受け入れ枠が段階的に増えていく仕組みとなっています。
大企業(常勤職員301人以上)の受け入れ上限と計算式
常勤職員数が301人以上の規模の大きな企業においては、人数ごとの細かい区分けではなく、計算式によって基本人数枠が算出されます。具体的には、「常勤職員総数の20分の1(5%)」が技能実習1号の受け入れ上限となります。また、計算によって小数点以下の端数が出た場合は、切り捨てて計算されます。
例えば、常勤職員数が400人の企業であれば、400人 ÷ 20 = 20人となり、1年間で最大20人の技能実習1号を受け入れることが可能です。仮に常勤職員数が415人であった場合は、415 ÷ 20 = 20.75となりますが、端数は切り捨てられるため、受け入れ上限は同じく20人となります。ただし、どの規模の企業であっても「常勤職員数を超える人数の実習生を受け入れることはできない」という絶対的な上限ルールも存在するため、極端な人数比率になることは未然に防がれています。
受け入れ人数のルール違反に対する罰則・監査リスク
技能実習制度における人数枠の制限は、法律や制度によって厳格に定められており、これに違反した場合には重い罰則が課せられます。上限人数を超過して実習生を受け入れたり、枠を増やすために実態のない従業員を常勤職員として虚偽申告したりする行為は、決して許されません。外国人技能実習機構(OTIT)や出入国在留管理庁などの関係機関による定期的な監査や立ち入り調査によって不正が発覚した場合、厳しい行政処分が下されます。
具体的な処分内容としては、以後の技能実習生の新規受け入れが停止されるだけでなく、現在雇用している実習生に対しても帰国命令が出されたり、別の優良な企業へ強制的に転籍させられたりする可能性があります。これは企業にとって深刻な労働力不足を招くだけでなく、社会的信用の失墜にも繋がります。適切なルールに則って正確な人数枠を算出し、コンプライアンスを徹底して遵守した運用を行うことが、実習制度を活用する上で最も重要なポイントです。
技能実習2号・3号移行時と「優良認定」による人数枠の拡大
2号(2年目以降)移行で基本枠は2倍に拡大する
技能実習制度では、入国1年目の「技能実習1号」を修了し、所定の技能検定等の試験に合格することで、2年目から3年目にあたる「技能実習2号」へと移行することができます。この2号へ移行した実習生については、先述した「基本人数枠(1号)」とは別枠で計算される仕組みになっており、結果として2号の受け入れ上限は「1号の基本枠の2倍」となります。
例えば、常勤職員数が30人以下の企業の場合、1号の受け入れ上限は「3人」です。1年目に採用した3人が無事に2年目(2号)へ移行した場合、その3人は2号の枠(上限6人)にカウントされます。そして、空いた1号の枠(3人)を利用して、新たに3人の1号実習生を採用することが可能になります。このように、1号から2号への移行と毎年の新規採用を継続することで、現場で活躍する実習生の総数を段階的に増やしていくことができるのです。
「優良な実習実施者・優良監理団体」認定による枠の倍増ルール
技能実習制度には、実習生の育成や労働環境の整備において特に優れた取り組みを行っている企業や監理団体を客観的に評価する「優良認定」の仕組みが存在します。一定の高い要件を満たし「優良な実習実施者」および「優良監理団体」として認定を受けると、企業にとっては制度上大きなメリットが生じます。その最大のメリットの一つが「基本人数枠の倍増」です。
優良認定を受けた企業の場合、技能実習1号の基本人数枠が通常の2倍に引き上げられます。常勤職員数が30人以下の企業を例に挙げると、通常の1号枠は3人ですが、優良認定を受けることで1号枠が一気に「6人」へと拡大します。これに伴い、2号の枠も「12人」へと倍増するため、企業の労働力確保において非常に有利に働きます。ただし、認定を受けるには技能検定の合格率や法令遵守の徹底など高いハードルが求められます。当組合は特定監理事業として、企業様が着実な実績を積み重ね、将来的な優良認定を見据えた適正な制度運用ができるよう、一歩ずつ丁寧なサポートを行ってまいります。
3号への移行と優良認定の必須関係
技能実習制度は、最大で5年間の実習が可能な仕組みとなっており、4年目から5年目の期間は「技能実習3号」と呼ばれます。しかし、すべての実習生が自動的に3号へ移行できるわけではありません。技能実習3号の実習生を受け入れるためには、企業(実習実施者)と監理団体の双方が優良認定を受けていることが絶対条件として義務付けられています。
つまり、特定監理事業の枠組みや通常の認定状態では、実習期間は最長3年間(2号まで)となります。要件を満たして3号の実習生を受け入れる場合、その人数枠は「1号の基本枠の3倍」と定められています。例えば、常勤30人以下で優良認定を受けた企業であれば、1号の枠は6人に拡大しており、3号の枠はその3倍の18人まで可能となります。このように、長期的な人材育成と安定した人員確保を計画する上では、段階的な制度の理解と適正な運用が極めて重要なカギを握っています。
【実践】常勤30人以下の企業の「3年間」採用シミュレーション
1年目:技能実習1号を上限(3人)まで採用した場合
ここからは、制度のルールを踏まえて、日本の中小企業で最も多い「常勤職員数30人以下」の企業(通常の認定状態)を例に、3年間の採用シミュレーションを具体的に見ていきましょう。なお、こちらはあくまで採用をイメージしていただくための参考事例としてお考えください。
まず1年目、企業は基本枠の上限である「3人」の技能実習1号を採用し、配属します。初めて実習生を受け入れるにあたり、社内では「技能実習責任者」や「技能実習指導員」「生活指導員」といったサポート体制を整備し、日本人従業員が実習生に対して技術や日本の生活ルールを丁寧に指導していく環境を構築します。この1年目は、言葉の壁や文化の違いに戸惑うことも多いため、無理なく確実な育成に専念する期間となります。この時点での現場の実習生総数は「3人」です。
2年目〜3年目:2号への移行と新規採用による累積人数の推移
2年目に突入すると、1年目に採用した3人は技能検定等に合格し、無事に「技能実習2号(1年目)」へと移行します。この3人は2号の枠にカウントされるため、1号の基本枠(3人)は再び空き状態となります。ここで企業は、新たに1号の実習生を「3人」採用します。その結果、2年目の現場には「2号が3人」と「新規の1号が3人」の合計「6人」の実習生が稼働することになります。先輩実習生が後輩に仕事や生活のルールを教えるといった、良い相乗効果も生まれやすくなります。
さらに3年目です。1年目に採用した最初の3人は「技能実習2号(2年目)」となります。2年目に採用した3人は「技能実習2号(1年目)」へと移行します。これで2号の枠には合計6人が入ります。そして再び1号の基本枠が空くため、新たに1号の実習生を「3人」採用します。これにより、現場の実習生の構成はさらに厚みを増していきます。
最大何人まで現場に配置可能か?(3年で最大9人の具体例)
上記のシミュレーションを継続していくと、「同時期に最大何人の実習生を現場に滞在させられるか」という疑問に対する明確な答えが見えてきます。常勤職員が30人以下の企業において、毎年上限である3人ずつの採用を続けた場合、3年目には以下のようになります。
- ・3年目の実習生(2号):3人
- ・2年目の実習生(2号):3人
- ・1年目の実習生(1号):3人
これらを合計すると、3年間で同時に最大「9人」の技能実習生が現場で稼働する体制が完成します。常勤職員30人に対して、追加で9人もの若く意欲的な労働力が配置されることは、企業の生産性向上や現場の活性化において非常に大きなインパクトをもたらします。計画的な採用活動と、毎年確実な技能検定の合格(2号への移行)をサポートすることで、このような安定した人員確保の好循環を生み出すことが可能となるのです。
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複雑な制度における自社の正確な上限人数の算出サポート
ここまで解説してきたように、技能実習生の受け入れ人数枠は、常勤職員数の定義や、1号・2号といった在留資格ごとのカウント方法など、非常に複雑なルールによって定められています。そのため、「自社のケースでは正確に何人まで受け入れられるのか」「パート従業員は人数に含めて良いのか」といった疑問や不安を抱える企業担当者様は少なくありません。桐蔭事業協同組合では、このような企業様に向けて、制度に基づく正確な上限人数の算出や、採用シミュレーションを無料でサポートしております。確かな知識を持つスタッフが、企業様の雇用状況を丁寧にヒアリングし、コンプライアンスを遵守した確実なご提案をいたします。
将来の「育成就労」や「特定技能」を見据えた採用計画の提案
外国人材の受け入れを取り巻く環境は大きく変化しており、今後、現行の技能実習制度は発展的に解消され、新たな「育成就労制度」へと移行することが予定されています。また、実習修了後に即戦力として長く活躍できる「特定技能」への移行を見据える企業様も増えています。当組合では、現在の技能実習生の人数枠だけでなく、このような制度移行期や将来的な「特定技能」へのステップアップも見据えた、長期的な視野での人材確保計画をご提案いたします。目の前の人手不足解消だけでなく、企業様の将来の持続的な成長をしっかりと見据えた採用プランを共に構築してまいります。
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